はじめに
国際税務を学ぶ上で、各国の「居住者」「非居住者」の定義をおさえることはとても重要です。
なぜなら、各国の税金の取り扱いが「居住者」・「非居住者」の違いで大きく変わるためです。
以下、日本に加えて、マレーシア・タイ・シンガポール・香港の「居住者」「非居住者」の定義をご紹介したいと思います。
日本の居住者・非居住者とは?
日本の所得税の納税者は、「居住者」と「非居住者」に区分され、「居住者」はさらに「永住者」と「非永住者」に分かれます。
- 「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます(所得税法第2条(1)三)。
- 一方「非居住者」とは、居住者以外の個人をいいます(所得税法第2条(1)五)。
「住所」は、民法では「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは客観的事実によって判定します(所得税法基本通達2-1)。「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
海外駐在員等の方が、日本を1年以上の予定で離れる場合は、日本を出国した日の翌日から日本の「非居住者」となります。

海外赴任期間が決まっている駐在員は、日本の居住者・非居住者の判定がわかりやすいですが、それ以外では判定が微妙なケースが多く出てきます。
これは、日本の税法では、多くの国で採用されている「183日ルール」のような数量基準がないためです。
マレーシアの居住者・非居住者とは?
マレーシアの居住者・非居住者の判定は、マレーシア滞在日数に関する以下の複数の基準で判定されます。
• 当暦年内で、1度の滞在期間または複数の滞在期間の合計が、182日以上
• 当暦年内は182日未満の滞在、直近の12月末までに継続して182日以上滞在
• 当暦年内は182日未満の滞在、直後の1月初めから継続して182日以上滞在(業務出張、病気治療等は上記2要件の中断には該当しません。)
• 当暦年内で合計90日以上滞在、かつ、直近4暦年のいずれか3暦年で「居住者」または「滞在期間の合計が90日以上」
• 当該暦年の直近3暦年で「居住者」、直後1暦年で「居住者」(当暦年の滞在日数に関係なく)
(Income Tax Act, 7 (1)
タイの居住者・非居住者とは?
タイの税制では、1暦年(=課税期間)の中で、1回の滞在または複数の滞在期間の累積日数が180日以上の者は「居住者」、180日未満の者は「非居住者」となります。(Revenue Code, Section 41)
シンガポールの居住者・非居住者とは?
シンガポールの税制では、以下の質的基準・量的基準によって居住者・非居住者を判定します。
【質的基準】
賦課年度の直前年度(暦年)に「居住」している個人。「居住」という定義は規定されておらず、実質的に判断します。
【量的基準】
会社役員以外の個人が,賦課年度の直前年度(暦年)に183日以上シンガポールに物理的に滞在しているか又はシンガポールに勤務している場合は、質的基準にかかわらず税務上居住者となります。
ただし、2暦年にまたがって183日以上連続してシンガポールに滞在し又は勤務していた場合、たとえ第1年度が183日未満であったとしても両方の年度で居住者として取り扱われます。
香港の居住者・非居住者とは?
香港に課税年度(毎年4月1日から翌年3月31日)内に180日以上滞在、又は2課税年度内に通算300日以上滞在している者は一時居住者(Temporary resident)となります。


